
まず、手元で見比べてみて
スマホの電卓アプリを開くと、いちばん上の数字の段は「7・8・9」です。次に電話のダイヤル画面を開くと、いちばん上は「1・2・3」。同じスマホの中なのに、上下がそっくり逆さまになっています。
パソコンのテンキーも電卓と同じ「7・8・9」が上。つまり私たちは、逆向きの2つの並びを毎日なにげなく使い分けているわけです。どうしてこんなことになったのでしょうか。答えは、それぞれの生まれた歴史にあります。

電卓の並びは、機械式計算機のなごり
電卓の「7・8・9が上」は、電卓よりずっと前の、歯車で動く機械式計算機から受けつがれたものです。1880年代のアメリカで生まれた計算機(コンプトメーターなど)は、数字を縦一列に、下から1、上へ9と並べていました。機械のしくみの都合で、この向きが作りやすかったといわれています。
その流れをくむ1914年ごろの計算機で、いまの電卓とほぼ同じ「3×3+0」の形が生まれました。以来100年以上、計算する機械はずっとこの並びです。電卓は、機械式計算機の子孫なんですね。

電話の並びは、実験で選ばれた
いっぽう電話の「1・2・3が上」は、歴史のなごりではなく、実験の結果です。1950年代、アメリカの電話会社(AT&T)は、ダイヤルを回す電話からボタンを押す電話へ切りかえる準備をしていました。そのとき「ボタンをどう並べたらいちばん使いやすいか」を、たくさんの人に実際に押してもらって調べたのです。
候補は15種類以上。丸く並べる案や、2列に並べる案まであったそうです。その中で成績がよかったのが、文字を読むのと同じ「左上から右へ」順に数字が並ぶ、いまの形でした。おもしろいことに、電卓と同じ並びも候補にあったのに、こちらは選ばれませんでした。

ちなみに余談
じゃあ、銀行のATMはどっちの並びでしょう? こんど見かけたら、ぜひ確かめてみてください。電卓型のところもあれば、電話型のところもあって、じつは統一されていません。
それから、「電話の並びは、ボタンを速く押しすぎると機械が追いつかないから、わざと使いにくくした」という話を聞くことがあります。おもしろい説ですが、残っている記録を見るかぎり、実験でいちばん使いやすかった形が選ばれた、というのが実際のところのようです。
まとめ
- 電卓・テンキー:7・8・9が上(機械式計算機からのなごり)
- 電話・スマホ:1・2・3が上(実験でいちばん使いやすかった形)
- 別々の歴史で生まれた2つの並びが、いまも手の中で同居している
毎日見ているのに、言われるまで気づかない。そんな「へぇ」が、意外と手元にころがっています。

出典:DOC – A brief history of the numeric keypad/TNW – Why telephones and calculators use different numeric keypads


