
結論:干支は60年でひとまわりする。だから60歳で「暦に還る」
干支(えと)は、ね・うし・とら……の十二支だけではありません。正式には「十干(じっかん)」と「十二支」の組み合わせで、十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10個、十二支は子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12個。この二つを一つずつずらしながら組み合わせると、10と12の最小公倍数である60通りになります。甲子(きのえね)から始まって、60年目の癸亥(みずのとい)で終わり、61年目にまた甲子に戻る。
つまり、生まれた年の干支と同じ干支が巡ってくるのが、満60歳の年です。「暦(こよみ)が還(かえ)る」で還暦。50でも70でもなく60なのは、この数え方のせいです。
自分の生まれ年の干支は、西暦・和暦変換ツールに年を入れると出ます。たとえば1966年生まれなら丙午(ひのえうま)。60年後の2026年も丙午です。

古希・喜寿・米寿……名前はぜんぶ「字あそび」
還暦のあとにも、長寿のお祝いがいくつも続きます。そして名前の由来は、還暦以外ほとんどが「漢字の形」です。
| お祝い | 年齢 | 名前の由来 |
|---|---|---|
| 還暦(かんれき) | 60歳 | 生まれた年の干支に「還る」から |
| 古希(こき) | 70歳 | 唐の詩人・杜甫の「人生七十古来稀なり」から |
| 喜寿(きじゅ) | 77歳 | 「喜」の草書体が「七十七」に見える |
| 傘寿(さんじゅ) | 80歳 | 「傘」の略字「仐」が「八十」に見える |
| 米寿(べいじゅ) | 88歳 | 「米」の字を分けると「八十八」 |
| 卒寿(そつじゅ) | 90歳 | 「卒」の略字「卆」が「九十」 |
| 白寿(はくじゅ) | 99歳 | 「百」から「一」を引くと「白」 |
| 百寿(ももじゅ)・紀寿(きじゅ) | 100歳 | 100歳そのもの。100年=一世紀なので紀寿とも |
| 茶寿(ちゃじゅ) | 108歳 | 「茶」を分けると十・十・八十・八=108 |
| 皇寿(こうじゅ) | 111歳 | 「皇」を分けると白(99)+王(十・一・一)=111 |
| 大還暦(だいかんれき) | 120歳 | 還暦が二回まわる |
古希だけは字あそびではなく、唐の詩人・杜甫の詩「曲江」の一節「人生七十古来稀なり」(70歳まで生きる人は昔から稀だ)から来ています。杜甫の時代には稀だった70歳が、今は日本人の平均寿命を大きく下回るところにある、というのも時代を感じるところです。
喜寿から先は、字をくずしたり分解したりすると数字が現れる、という仕組みです。「喜」の草書体は「七」を三つ重ねたような形で七十七、「傘」の略字「仐」は八と十で八十、「米」は八・十・八で八十八、「卒」の略字「卆」は九と十で九十。白寿は少しひねっていて、「百」から「一」を引くと「白」になるので九十九。100歳を超えると茶寿(108)、皇寿(111)、そして還暦が二回まわる大還暦(120)まで用意されています。
数え年と満年齢、どちらで祝う?
長寿のお祝いは、もともと「数え年」で祝うものでした。数え年は、生まれた時点を1歳と数え、お正月が来るたびに全員そろって1歳ずつ増える数え方です。誕生日は関係ありません。この方式だと、満年齢より1歳(誕生日前なら2歳)多くなります。
今は満年齢で祝うことが多くなっています。還暦は満60歳、古希は満70歳、という具合です。ただし本や地域によっては数え年で書かれていることもあるので、「古希は69歳」と書かれていても間違いではありません。数え方が違うだけです。
変換ツールの「生年月日・記念日」に誕生日を入れると、還暦から百寿までの年と日付が、満年齢で一覧になります。「あと何年」も出るので、家族のお祝いの準備にどうぞ。
ちなみに余談
2026年は丙午(ひのえうま)の年で、1966年生まれの人が還暦を迎えます。この1966年は、丙午の迷信で出生数が前の年より25%も減った年でした。その話は2026年は「丙午」——60年前、出生数が25%減った年に書いています。
もう一つ。60年でひとまわりする干支は、年だけでなく日にもついています。甲子園球場の「甲子」は、完成した1924年が甲子(きのえね)の年だったから。十干の最初「甲」と十二支の最初「子」が重なる縁起のいい年だ、という理由でつけられた名前です(阪神甲子園球場の公式サイトより)。
まとめ
- 干支は十干(10)×十二支(12)で60通り。60年で生まれた年の干支に戻るので「暦が還る」=還暦
- 赤いちゃんちゃんこは「赤ちゃんに還る」と魔除けの赤から
- 古希は杜甫の詩「人生七十古来稀なり」。喜寿・傘寿・米寿・卒寿・白寿は漢字の形からできた字あそび
- もともとは数え年、今は満年齢で祝うことが多い。1歳ずれて書かれていても数え方の違い
60という数字に、干支の一周がまるごと入っている。お祝いの席で、ちょっと話したくなる仕組みです。



