
QRコードは、日本で生まれた
QRコードが誕生したのは1994年。デンソーウェーブという日本の会社の、原昌宏(はら まさひろ)さんたちが開発しました。もともとは工場で、たくさんの部品を手早く管理するための仕組みでした。
それまで使われていたバーコード(線が並んだあの模様)は、入れられる文字が英数字で20文字ほど。品物によっては何本も並べて、いくつも読み取る必要があって大変だったのです。

ヒントは、昼休みの囲碁
白と黒の石が、縦にも横にも並ぶ碁盤。これを見て「縦と横、両方向を使えば、もっとたくさんの情報を詰め込める」とひらめいたそうです。線が横一方向だけのバーコードに対して、QRコードは縦横の二方向。だから入る情報がぐんと増えました。
数字ならおよそ7000文字、日本語の漢字もそのまま入ります。「QR」は Quick Response(クイック・レスポンス=すばやい反応)の頭文字で、その名のとおり素早く読み取れるのが持ち味です。

世界に広まったのは「特許を開放」したから
QRコードには特許がありますが、デンソーウェーブはその権利を振りかざさず、規格どおりに使うぶんには誰でも自由に使えるようにしました。この判断が大きな分かれ道でした。
そして、日常のすみずみにまで広げた立役者が、中国のスマホ決済でした。2010年代、アリペイやWeChatペイがQRコードを「お店で読み取って支払う」仕組みに採用します。とくに2014年、旧正月に配られたデジタルのお年玉(紅包=ホンバオ)キャンペーンが火付け役となり、中国は現金をほとんど使わないほどのQR決済大国になりました。
この「スマホでQRを読む」という体験が世界に伝わり、さらに2020年からのコロナ禍で、飲食店のメニューや案内の非接触化が一気に進みました。こうしてQRコードは、電子決済から案内表示まで、世界中で当たり前の道具になりました。日本の工場で生まれた四角い模様が、めぐりめぐって世界の日常になったわけです。

ちなみに余談:隅の「四角3つ」の秘密
QRコードの三隅にある大きな四角は「位置検出パターン」といって、読み取り機に「これはQRコードだよ」「向きはこっちだよ」と教える目印です。これがあるおかげで、上下ななめ、どの向きから読み取ってもちゃんと認識できます。
おもしろいのは、あの四角の白黒の幅が 1:1:3:1:1 の比率になっていること。開発陣は、チラシや雑誌、段ボールなどの印刷物をすべて白黒に置きかえて、その模様の比率を徹底的に調べました。そして「印刷物の中でいちばん出てこない比率」をわざと選んだのです。似た模様と間違えて誤読しないための工夫でした。

まとめ
- QRコードは1994年、日本のデンソーウェーブ(原昌宏さんら)が開発
- ヒントは昼休みの囲碁。縦横二方向でバーコードよりたくさんの情報が入る
- 特許を開放し、さらに中国のQR決済(2010年代)とコロナ禍を経て世界に広まった
- 隅の四角は向きを教える目印。1:1:3:1:1は誤読を防ぐための比率
出典・参考:デンソーウェーブ公式「QRコード開発」(開発年・位置検出パターンの比率・情報量)/Newsweek日本版「QRコードを生み出した技術者、原昌宏」(囲碁のヒント・特許開放)/Wikipedia「QRコード決済」(中国でのQR決済の普及)。「QRコード」はデンソーウェーブの登録商標です。


