写真の「Exif」は、日本生まれの規格なんだよ

写真の「Exif」は、日本生まれの規格なんだよ|トットと、やろう
トット
トット
やあ、トットだよ。写真の「位置情報を消す」話で出てくる「Exif(イグジフ)」って言葉、なんとなく聞き流していないかな。じつはこれ、日本で生まれた規格なんだ。

結論:世界中のスマホが、日本生まれの規格で写真を保存している

Exif(Exchangeable image file format)は、1995年に日本電子工業振興協会(JEIDA)が定めた規格です。デジタルカメラで撮った写真に、撮影日時やカメラの設定といった「撮影メモ」を一緒に入れておくための決まりごとで、バージョン1.0は1995年10月に制定されました。

その後も改訂は日本の団体が続けていて、現在はカメラ映像機器工業会(CIPA)と電子情報技術産業協会(JEITA)が共同で管理しています。iPhoneもAndroidも、海外メーカーのデジタルカメラも、写真を保存するときはこの規格に従って撮影メモを書き込みます。日本発の規格が、そのまま世界標準になった例です。

JPEGファイルの中身のイメージ。先頭の目印、Exif(撮影日時・カメラ・位置情報・向き・サムネイル・メーカーノート)、画像そのもの
JPEGファイルの中には、画像とは別に「撮影メモ」の小部屋があります

撮影メモには、何が書いてあるのか

撮影した日時、カメラの機種名、レンズ、焦点距離、絞り、シャッター速度、ISO感度。位置情報をオンにして撮った写真なら、緯度・経度・高度。さらに、縦横どちら向きに撮ったかを示す「向き」の情報や、小さな縮小画像(サムネイル)まで入っています。メーカーが独自に書き込む「メーカーノート」という領域もあり、こちらは中身が公開されていないこともあります。

これらは画像を見ただけでは分かりません。JPEGファイルの中の、画像とは別の場所(APP1と呼ばれる区画)にしまわれています。この区画は一つあたり64KBまでと決まっているので、撮影メモは「小さな付箋」くらいの大きさです。

トット
トット
写真そのものとは別の場所にあるから、写真を見ても気づかない。でも、ファイルを開ける道具があれば読めるんだ。

30年かけて、少しずつ育ってきた

Exifは一度作って終わりではなく、時代に合わせて改訂されてきました。1998年のバージョン2.1では、メモリーカードの中の写真の並べ方の規格(DCF)と足並みをそろえました。2002年の2.2は「Exif Print」と呼ばれ、撮影時の情報をプリンターが読んで、きれいに印刷できるようにしたものです。2010年の2.3ではレンズの情報が加わりました。

意外なのは、撮影時刻に「どこの時刻か」(タイムゾーン)を書く欄ができたのが、2016年のバージョン2.31だということ。それまでの約20年間、写真の撮影時刻は「カメラに設定されていた時刻」がそのまま書かれているだけで、日本時間なのか現地時間なのかは、ファイルからは分かりませんでした。海外で撮った写真の時刻をどう扱うかは、ソフトごとの判断に任されていたわけです。

2023年5月にはバージョン3.0が公開され、ようやく日本語などをそのまま書ける文字コード(UTF-8)が正式に使えるようになりました。それまでは、メモの文字は英数字が基本だったのです。撮影者や編集者の名前を書く欄も、このときに加わりました。

便利さと、うっかりは表裏一体

撮影メモがあるおかげで、写真アプリは「去年の夏の写真」「あの旅行の写真」を一瞬で探せますし、縦に撮った写真は自動で正しい向きに表示されます。一方で、自宅で撮った写真をファイルのまま人に渡すと、緯度・経度もそのまま渡ることになります。

X・Facebook・Instagram・LINEなど主なSNSは、投稿時にこの撮影メモを取り除いてから公開しています。気をつけたいのは、メールやAirDrop、クラウドの共有リンクなどでファイルそのものを渡すときです。端末ごとの確かめ方と消し方は便利帳の「写真に住所が写ってる? 位置情報の確かめ方と消し方」に、まとめて確かめて消すなら道具箱の写真の位置情報(Exif)を消すツールにまとめました。

ちなみに余談

Exifの中に入っている小さなサムネイルは、写真を編集しても更新されないことがあります。顔をぼかしたつもりの写真の中に、ぼかす前の小さな縮小画像が残っていた、という話が昔からあるのはこのためです。撮影メモごと消してしまえば、この心配もなくなります。

もう一つ。写真が勝手に横倒しになる現象も、Exifの「向き」の情報が原因です。カメラは画像を横向きのまま保存し、「これは縦に回して表示してね」というメモを添えます。メモを読まないソフトで開くと、横倒しのまま表示される、というわけです。

まとめ

  • Exifは1995年に日本のJEIDAが定めた、写真の「撮影メモ」の規格。今はCIPAとJEITAが管理
  • 日時・機種・レンズ・設定・位置情報・向き・サムネイルなどが、画像とは別の区画(64KBまで)に入る
  • タイムゾーンの欄は2016年、日本語をそのまま書ける文字コードは2023年になってから
  • SNS投稿では自動で消えるが、ファイルを渡すときは残る

スマホで撮るたびに、30年前に日本で決められた「メモの書き方」が使われている。そう思うと、写真のファイルが少し違って見えてきます。

トット
トット
小さな付箋みたいなメモが、世界中の写真に貼られているんだね。

出典:Wikipedia「Exif」(バージョン履歴・APP1・64KB制限)/CIPA「Exif 3.0について 〜最新改訂の概要〜」(2023年12月)/PRONEWS「CIPA、「Exif3.0」改訂版公開」(2023年5月30日)(いずれも2026年9月6日時点)

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